アイルランドで起業するのは簡単です(留学生とかは無理ですが)Stamp4という滞在許可があれば誰でも起業できますので、その方法をメモしておきます。
アイルランドの法人事情
なんといっても法人税が12.5%というのが魅力。
個人の所得税は、年間35,300ユーロまで20%、それ以上は40%の2段階でなのでそれと比べても法人は非常に魅力的です。
細かい話は割愛しますが、フリーランスの人などは積極的に検討する価値があると思います。
会社のDirector(役員)のうち最低1人はEEA(ヨーロッパ経済協力圏≒EU+スウェーデン+スイス)在住である必要があります。
役員の全員がPPSナンバー(日本のマイナンバーに該当)を取得する必要がありますが、これはAccountantが取得代行してくれるので特に問題ないと思います。
アメリカの用語とアイルランド(UK)の用語が少し違うものもありますので、覚えとけばいい単語を含めてざっくり記載します。
内容を深くは説明しませんので、こんな感じなんだーと思ってもらえる材料にしてください。
アイルランドの法人設立の流れ
設立とその後に必要な手続き
・CROに手続きして法人設立(自分でもできますが、formations.ie←の会社を使うのが一般的。登記費用も含め€500ぐらいで全部やってくれます。)
→CRO register numberがPDFおよび郵送で貰える
・Register Beneficial Ownership Details (RBO rbo.gov.ie 法人で登録) 設立5ヶ月以内
→その後は株主が変わるたび登録しなおす。株主が変わらなければ何もしなくていい
・Revenue に設立したよと申告(TR2という書類を郵送またはメール添付送付先はTR2最下部に記載されているTR2)
→TRN(Tax reference number)が郵送されてくる
※2025年4月時点の書類です。最新版は revenue.ie からダウンロードする必要がある可能性があります。
・TRN(ROSではRegistration Numberと書かれている)を使ってROS Access Number (RAN)をくれとROSの Register for ROS から申請
→RANが郵送されてくる
・RANを使ってROSにログイン。TIN(Tax Identification number)を貰うため、Corporation Tax Registrationを ROS.ie で行う(最初の売上がたってから4週以内 or 設立12カ月以内)
→TINがROS内で発行される
※銀行口座開設に TIN が必要なため、ここまでやらないと銀行口座開設できません。
条件が合致したらやること
・VAT Registration(ROSにて、年商€37,500を超えたら)
・Employer Tax Registration(ROSにて、人を雇ったもしくは解雇した9日以内)
毎年いるもの
・CRO core で、B1フォーム Annual Return する(設立の6ヶ月後から56日以内。この時B1Xという書類で提出し、ARDを変更して以下のFYEDと一致せせておくと後々楽、その後毎年)
・Corporation Tax Return (Form CT1) (ROS.ie ) (8 months + 23 days after Financial Year End Date、その後毎年)
その他のお話
CROは日本で言うところの法務局であり、Revenue(税務署)とは別組織です。
厳密にいうと CROに提出するB1フォーム:Annual return はARD(Annual return day)にClosing of the accountしたものをCROに提出する作業です。
一方Revenueに申告するCT1(Corporation Tax form 1)はFinancial Year end date(FYED)に Closing of the accountして行う決算処理および申告で、上記の2つはそれぞれ完全に別の手続きです。
Annual Returnの手続きはRevenueとCROそれぞれ別々で行う必要があります(つまり本来年2回必要)。
CROの申告は CRO Core と呼ばれるオンラインシステムで、そんなに難しくありませんが、どっちにしてもMicro Company の書類を作ってもらうのにAccountantにお願いする必要があるため、電子申告も含め任せてしまう感じになると思います。
Revenueに対する申告はROS.ieというオンラインシステムで行い、これは知識のない人物が自分でやるのはかなり難しいと思います。
CT1の手続きため、Bookkeeping(経理)とFinancail Statements、つまり財務諸表=Statement of Financial position(アメリカ流でいうBalance sheetsまたはB/S)、Statement of Profit and LossまたはP/L、Statement of Cash Flow(小さい会社は提出義務免除なため無視でいい)の準備が必要です。
会計ソフトを導入するかAccountant(税理士)に頼みましょう。
会計ソフトはQuickbooksとXeroが小さい会社向けのアイルランドに対応している2台巨頭です。
私はQuickbooksを使っています(そっちのが安いからというだけの理由)。
Micro Companyの場合audit(監査)は免除されます。
Financial Statements を自分で作ることは可能ですが、「我々はMicro company に該当します」という宣誓書を第三者であるAccountantに書いてもらう必要があるため、どちらにしても全てを自分で完結することはできません。
なので、CT1の申告自体はAccountant(税理士)に頼む場合がほとんどになると思います。
色々書きましたが、一般的には、Finanncial year end dateをAnnual return dateと同一日(だいたい12月31日)にしておき、CROに提出する書類とRevenueに提出する書類は同時に準備し、まとめて、CROとRevenueにそれぞれ申告するというのが慣例になっています。
Director Tax Return (Form 11)とよばれる役員の確定申告も必須になりますので、この締め日が12月31日であり、合わせておくと手間が省けます。
なお、私の場合は、Accountant費用は、基本的にはBookkeeping以外全て、B1(初回B1X)、CT1、Form11全部ひっくるめて年間€1500(税抜)でした。
企業の規模によりますが、小さい会社だと相場はそれぐらいのようです。