Part 3 アイルランド永住を目指して、アイルランドSTEPビザ申請手順
海外移住の手順と、VISA申請、移住先をどうやって決めたのかなど実際に僕がやってきたことをメモしていきます。
アメリカやカナダ情報はたくさんありますが、アイルランドの情報はとても少ないので、ここにメモしておきます。
Part 3 いまここ
STEPプログラムを使って永住する手順
Part 1でも紹介しましたが、僕は「Start-up Entrepreneur Programme (STEP)」というVISAを取得してアイルランドへ移住することを目標としています。
僕がSTEPでアイルランドのVISAを取得する手順は下記の通りでした。
STEPの条件を確認する(条件については、次項の「STEPプログラムの条件」で記載しています)
移住の準備をする
アイルランドで家を買う
PPSナンバーを取得する
アイルランドの銀行口座を開く
僕がとったこれらの手順はSTEPの必須条件ではありません。
必須ではないのに、なぜこの手順で進めたかの説明もしていますので、参考にしてみてください。
STEPの条件を確認する
まずはSTEPの条件をザックリ確認しました。詳細は次項にまとめています。
簡単に言うと、3,4年で年商1億ぐらいに成長するビジネスプランを考えて、アイルランドで開業するならVISAをあげます。
という内容です。
一見とても難しそうに思えます…
内緒話ですが、VISAさえ貰ってしまえば、その後審査があるわけではなく、何とでもなる。
小売業、サービス業不可と書かれているが、これも審査があるわけではないので、まっとうに商売していれば何でもOKというのが現実。です。
(現地の弁護士談)
僕はITエンジニアリングでビジネスプランを考えました。
僕自身、全くもってITエンジニアの経験者ではありませんが、勉強すればなんとかなるでしょう(楽観主義者)。
移住の準備をする
日本では、小売業・卸売業を小さな自分の会社で営んでいましたが、この事業を他社に譲渡(売却)しました。
移住の3年ほど前のことです。
(当初は移住の1年前のつもりでしたが、新型コロナの猛威により、2年延期となりました。)
引っ越しに向けて荷物の整理・家具や本の処分(ラクマで売ったり、ジモティーで貰ってもらったり)。
ITスキルを磨く。
30代半ばから新しいことを学ぶのは簡単ではありませんでしたが、移住後の生活基盤をできるだけ安定させるために、海外からでも収入を確保できるITスキルを学びました(YouTubeでゼロから覚えるPython講座みたいなものを見た)。
ホームページ制作、動画編集、プログラミング(JavaScript、PHP、Python)などのスキルある程度身につけました(全然一流レベルではありませんが、いずれにしてもITスキルは無駄にはならないでしょう)。
アイルランドで家を買う
僕の場合は新たにビジネスにチャレンジしたいという目的がありましたので、ヨーロッパのシリコンバレーと呼ばれるダブリン(アイルランド首都)に住みたいと思っていました。
ダブリンは慢性的に家不足で、家賃も非常に高いことが知られています。
そこで僕の場合は家を買うことにしました(実際に購入したのはアパートですが…)
賃貸ではなく買った理由は下記の通りです。
・家不足のため、条件のいい賃貸は難しそう。
・基本的に不動産の価値は築年数に関わらず下がらない(リセッションで下がってもすぐ戻る)。
・家不足のため、簡単に人に貸せて、家賃収入にもなる(ハウスシェアも楽しそう)。
・STEP申請のビジネスプランを書く際に、既に設備投資も開始していてやる気満々ですと言える。
・アイルランドの銀行口座の開設に住所とPPSナンバーが必要。
アイルランドに限らず、海外で家を買うことは、分からないことだらけでハードルが高いと感じている方も多いと思います。
アイルランドで家を買った話は、値段や手続きも含めて Part 4(番外編)その2 アイルランドで家を買うにまとめていますので参考にしていただければ幸いです。
PPSナンバーを取得する
PPSナンバーは、日本でいうところのマイナンバーです。
就職、納税、社会保障、銀行口座開設など、ありとあらゆる場面で必要になります。
語学留学などの場合は、PPSナンバーの取得が結構厄介らしいのですが、僕の場合は家を買うタイミングで、不動産取得税(Stamp Duty)を支払うため、納税のタイミングで自動的にPPSナンバーは取得できました。
アイルランドの銀行口座を開く
家を買い(住所ができた)、PPSナンバーも取得できたので、アイルランドの銀行口座を開設しました。
Part 4(番外編)その2 アイルランドで家を買う にも書いていますが、家を買ったのは日本からです。
内覧もしていません(コロナのせいで)。
しかし、銀行口座開設は現地の銀行の支店に行く必要がありました。
ということで、旅行がてら2週間アイルランドへ行き、苦労しながらもBank of Irelandで銀行口座を開設しました。
銀行口座開設の説明は Part 4(番外編)その2 アイルランドで銀行口座を開設する に書いています。
STEPプログラムの条件
・国際的なマーケットに働きかけるビジネスをアイルランドで行う(小売、サービス業は不可)。
・3,4年で10人ほど雇用でき、4年後に年商100万ユーロ以上(だいたい年商1億円以上)を見込めるビジネスプランであること。
・経験のあるマネジメントチームが運営すること。
・本社をアイルランドに置くこと。
・既存ビジネスの移転の場合は、6年以内に始まった若いビジネスであること。
・既存ビジネスの場合は、自国の最新の決算書を提出すること。
・多国籍企業の場合は、どこの国で何人雇うかとかを明示すること。
・5万ユーロ以上(だいたい700万円)の開業資金が過去3ヶ月間ずっとあることを証明すること。
・上記開業資金がアイルランド国内でユーロとして送金可能である証明をすること。
・申請費用として€350支払うこと。
・警察での犯罪経歴証明書(Police Report)を取得し提出すること。
・配偶者がいる場合、戸籍謄本(婚姻証明書として)。
・任意の健康保険に加入する必要がある。ただし、これはVISA取得後の住む段階。
・アイルランドの法律家による宣誓書(affidavit)を貰う事。ただし、これはVISA取得後の住む段階。
・貰えるVISAは、2年。アイルランドからの出入りは自由。
・2年後に申請して3年延長
・2度目の延長申請以後は5年ごと更新。
・STEPでVISAを更新できない場合は(ビジネスの業績悪化など)、別の就労VISA(Work permit)や、新たなSTEPの申請を行う必要がある。
・審査の結果、拒否されても再挑戦できる。
これらの条件は必ず確認しておきましょう。
STEPガイドラインpdf
https://www.irishimmigration.ie/wp-content/uploads/2020/01/STEP-Guidelines.pdf
それぞれの書類に関する詳しい説明はPart 6 申し込み手順・必要書類にまとめています。
なお、決算書など日本語の書類は全て英訳する必要があります。
戸籍などの公文書は英訳に加えて外務省によるアポスティーユ認証が必要です。
4年後に10人雇って年商1億以上、はあくまでも参考なので、申請時点ではあまり気にしなくていいです。
それぐらいの意気込みのあるビジネスプランを書けばいいのです。
経験のあるマネジメントチームが運営も同じで、「私実績あります!」と言えばOKです。
5万ドル(700万円ぐらい?)の残高証明は必須です。
申請費用やその他もろもろ、現地に住んでからの一時的なお金も合わせて、1000万円ぐらいの現金があれば、STEPに挑戦できると思います。
海外移住を本気で考える人であれば、これぐらいの貯金はできるでしょう。
なんなら親に借りたりもできるかもしれません。
・5万ユーロ以上(だいたい700万円)の開業資金が過去3ヶ月間ずっとあることを証明すること。
・上記開業資金がアイルランド国内でユーロとして送金可能である証明をすること。
この2点は日本人にとっては結構厄介です。
日本の銀行は「レター(証明書)」を書いてくれません。
英語での残高証明はゆうちょ銀行で出せますが、ある時点での残高証明しか出せず、過去3ヶ月間ずっと残高が5万ユーロ以上相当ある証明にはなりません。
また、僕が調べた限りでは「アイルランド国内でユーロとして送金可能である証明」は日本の銀行から貰える書類では証明できません。
日本の弁護士に依頼して上記内容の文章を書いてもらい、
文章を英訳(自分で、または翻訳者へ依頼して)し、
公証役場で公文書化(私文書→公文書へ)し、
外務省でアポスティーユ認証を貰う(公文書以外はアポスティーユできないので)
という方法もとれなくはないですが、非常に煩雑です。
公証役場での認証や、外務省でのアポスティーユに関しては、Part 6 STEPプログラム申し込みに詳しく記載しています。
ただ、日本の銀行残高でSTEPを申し込む作業は面倒だったので、僕は一番手っ取り早くて確実な「アイルランドで銀行口座を開き」そこに5万ユーロ以上を預金することを選びました。
この方法であれば、残高証明も、ユーロとして送金可能うんぬんも全く必要ありません。
オンラインバンキングでから pdf でダウンロードできるバンクステートメントを印刷して添付するだけでOKです。
銀行口座を開設するにあたって、PPSナンバーとアイルランド国内の住所が必須になります。
僕はアイルランドで家を購入しましたので、PPSナンバーも住所も両方クリアできましたが、賃貸の場合にはこの辺りは少し苦労するかもしれません(でも不可能というわけではありません)。
長く細かい話になりましたが、Part 3のSTEPビザの要件や簡単な手順はここまでです。
Part 4 は少し番外編になりますが、アイルランドの不動産事情、アイルランドで不動産を買う理由、不動産を買う方法、手順を紹介しています。