今回は中学生向けの例題集を作ってみました。
書いてある内容が難しく感じるかもしれませんが、文章そのものは難しくありませんので、読む前には文章や単語の意味は説明せずに、読みながら内容を理解する練習をさせてください。
答え合わせや解説の時に意味を説明するのは、もちろんOKですが、知識を増やすことが目的ではなく、読む力を伸ばすことが目的だということを強く意識してください。
小学生(低学年)向け例題集は、こちらの「【小学生(低学年)向け】「読む力」読解力を鍛える、リーディングスキル練習問題、例題」で公開しています。
【小学生高学年向け】リーディングスキル練習問題
もこちらにあります。
※リーディングスキル向上のための問題なので、実際の事実や、厳密な科学的正解ではない場合があります。文章を読み、その内容を理解する目的に使用してください。
中学生向け国語・社会に関連したリーディングスキル向上のための問題
回答は一番下にあります。
1.平成30年の犯罪動向を報告している令和元年の犯罪白書によると、刑法犯罪全体の約8割を占める窃盗は、前年に比べて大幅に減少したのに対して、両親などによる児童虐待の認知件数は過去最高を記録していた。児童虐待の増加には、核家族化、共働き両親、シングルマザーが増えたことによる影響が少なくないと言われている。
平成30年に最も多かった刑法犯罪は何?
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2.数え年で60歳になる事を還暦と呼ぶ。日本では生産労働人口が減少してきており、2040年頃までに少子高齢化の問題が大きく影響してくると言われているが、現在でさえも還暦以上の人口が全体の30%を超えている。
日本で60歳未満の人口は全体の何%以下でしょう?
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3.ダダイズムとは、1910年代半ばにフランスで始まった芸術運動・文学思想のことで、フランスでは第一次世界大戦によってもたらされた虚無を根底とした、既成の秩序や常識に対する否定や破壊といった思想を特徴としている。日本では、ダダイズムの作家として中原中也が有名だが、文学作品としての詩の概念を破壊し、全く新たな領域を確立したとして高い評価を得ている。
ダダイズムの思想の特徴を2文字で表すと何?
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中学生向け数学・理科に関連したリーディングスキル向上のための問題
回答は一番下にあります。
1.A組のクラスの生徒数は30人で男子と女子の人数の差は4人で男子の方が多く、B組の生徒数は34人で男女の人数はそれぞれ同じ数でした。
A組の女子の人数とB組の女子の人数の差は何人でしょう?
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2.物質は大きく、鉄、アルミニウム、ニッケルなどの金属元素と、カルシウム、炭素、シリコンなどの非金属元素に分類することができる。金属元素には酸素と結合し酸化されやすい性質があり、アレルギー反応など人体に影響を及ぼすものも多い。一方の非金属元素は人体の構成要素として元々多く含まれていて吸収されやすく、人体に悪影響を引き起こすものは少ない。さらに炭素と金属元素が結合した有機金属の中には、人体に吸収されやすく、かつ強い悪影響を及ぼす物質が多く見られる。
以下の文章が、正しいか、正しくないか、またその理由を述べましょう。
・金属元素と非金属元素は、それぞれ別のもので結合することができない。
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3.2019年12月から2020年2月が記録的な暖冬となった影響もあり、気象庁による2020年春の花粉飛散予測数は、前年の1割程度である1時間1平方メートルあたりに50万個となる見込みだとしている。
2019年春の花粉飛散量は1時間1平方メートルあたり約何個だったか?
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リーディングスキル問題集の回答
国語・社会に関連する文章の答え
1.窃盗(前年より件数が大幅に減少しても、刑法犯罪の8割は窃盗なので。)
2.70%未満(60歳=還暦という事が分かれば、100-30で求められる。)
3.「否定」または「破壊」。(「虚無」は特徴ではなく、特徴の根底をなすものなので不正解。「秩序の否定や破壊」と答えたいところだが、2文字という制限があるので、正解は「否定」または「破壊」となる。)
数学・理科に関連する文章の答え
1.4人(A組13人、B組17人。方程式を知らなくても、文章が理解できれば答えは求められます。)
2.正しくない。理由:有機金属は、炭素(非金属元素)と金属元素が結合したものなので、結合できる。
3.約500万個。(2020年春が50万個予想であり、それが前年の飛散量の1割分になるので、2019年春は500万個だったと分かる。)
リーディングスキル向上のためのテスト(RST)に対する向き合い方
もしも、上記の問題が全然分からない場合も、焦らないでください。
リーディングスキル向上に特効薬はありません。何度も何度も、たくさん読む練習をさせる以外に、急に理解できる方法はありません。
基礎学力から東大に行くような学力まで、全ての学びの力の要だと言われているリーディングスキルを伸ばそうと言われています。
話題にはなっているけど、読む力向上のための練習問題はあまりないのが現状です。
私自身が人に(小学5年生と中学1年生から1年間、自分の子ではありません)リーディングスキルを学ばせていくうちに、読ませる文章によって、理解力に大きな差が出るという事が分かってきました。
リーディングスキルが伸びてくると、全然関係ないと思っていた数学の点数も大幅に向上しました。
リーディングスキルを伸ばす練習を1年続けた結果、数学の文章問題への苦手意識が薄れ、文章問題で何を質問されているのかが分かるようになった結果、学力が大きく向上したのだと思います。
例えば、新聞記事の文章を切り抜いて読ませ、簡単な質問をするというリーディングスキル問題を出した時、
農業の内容であれば普通に理解できるのに、政治の事になると急に理解できない。などです。
大人の目から見ると、文章の難易度は同じなのですが、単なる分野(政治は難しい、算数は難しいなど)の苦手意識が大きいのです。苦手だと思うと、文章を理解する事を諦め、流してしまいます。
他にも、文章に数字(前年同月比で22.5%…など)が入ると急に理解することを諦めたり。
といった具合です。
リーディングスキルは、「文章を読み理解する力」なので、ジャンルや、その書いてある内容の理解度は、本来は関係がないはずです。
全く知らない分野の内容であっても、文章を読むことで、その概要が分かる必要があります。
もちろん、文章の全てが理解できる必要はありません。
例えば国際政治の話の場合、内容の全てを理解できないのは仕方がありません。
でも、これはアメリカの偉い人が「中国とは仲良くしたくない。そのために中国に仕事をしにくくしてやろう」と言ってるんだな。
といった程度には理解ができる必要があります。
もちろん、そこから「どうしてアメリカは中国と仲良くしたくないのだろう?」と興味や疑問を感じるようになるなら最高なのですが、その前提となる文章理解ができないのであれば、そんな興味や疑問を感じる事などできるはずもありません。
このリーディングスキルは、文章を読む機会が極端に少ない現代においてとても重要な能力になってきています。